弁護士が教える、専業主婦でも親権を獲得する方法

母と子

よく「専業主婦でも,親権がとれるでしょうか」と相談されます。そんなとき、私はいつもこう答えます。

今あなたが子供を育てているのなら、天地がひっくり返ってもあなたが親権者です。専業主婦かどうかは問題ではありません。」

離婚するときに、一番気になるのは「子供とお金」の問題と言われています。離婚に際して、愛する子供を自分の手で育てることができるのかどうかは、待ったなしの大問題です。

しかし、専業主婦をしてしまっていて、お金を稼ぐ手段をもっていない。そもそも、子供を引き取ったら子供を抱えたままどうやって働くのか、全く展望がつかない、そんなジレンマに陥っている方もいると思います。

まして、相手も子供に執着していれば、熾烈な子供の取り合いとなり、中途半端に譲ることが事柄の性質上できないため、話し合いでの解決は難しくなります。

そうなってくると、もし親権がとれないなら子供と離ればなれになってしまい、離婚する意味がない、どうしよう。

ということで悶々として、結局愛情もない夫婦生活を「子供のためにがまん」して続けている女性が出てきます。

しかし、このような現実の選択は間違っており、「愚かな」「悲劇」としか言いようがありません。

悲劇と言ったのは、誰に対しても何もいいことが無いという意味です。

もちろん、妻である女性本人は好きでも無い人と「子供のために我慢」という理由で、ただただ、一緒にいるわけで、不幸です。

また子供も、食べて行くことはできるのでしょうが、愛してもいない夫婦に育てられること、ましてや、それを自分のためだったと大義名分の対象にされること、で二重の不幸につかるわけです。

夫の方も不幸です。働いて疲れて返っても、迎えるのは愛情などとうに失せたが、「子供のために我慢」して、お金のために自分と一緒にいるだけの妻、そして、その妻から自分に対する呪詛の言葉だけを注ぎ込まれた子供。考えただけで、うすら寒くなるような家庭です。

そして、「愚かな」と言ったのは、このようなばかげた生活を避けることができたのに、なんら行動せず、みすみす悲劇を選んでしまう、その行為の問題性をわかってほしいからです。

親権は、専業主婦でもとれます。本当に親権をほしいと願うならば必ずとれます。方法はあります。お教えします。

世界中を敵に回しても、子供は渡さない、そういう強い決意を持てば実践できますし、事態は必ず有利に動いてきます。

人は望んだ未来しか手に入れられません。断固たる決意をもって、動き出しましょう。

1 専業主婦は親権がとれるのか

もちろん、とれます。今子供を育ててさえいれば。
なぜなら、親権者というのは、今子供を育てている人のことを言うからです。収入の多寡や、社会的地位、男女の別も関係ありません。

親権とは、未成年の子供を監護養育したり、代理人として財産管理などの法律律行為をする権利や義務をいいます。

婚姻中は、夫婦でこの親権を「共同で」行使しますが、離婚後は、どちらか、親権者となった者が「単独で」行使することになります。

行使する人が一人になってしまうわけですから、当然、現実的に日常子供を育てる能力がある人しか、親権者にはなれません。お金のあるなしは、養育費などで手当てできますが(むしろ養育費はそのためにあります)、現実に今日のご飯を食べさせ、寝かしつけて、というような育児を誰ができるのか、と言う観点が大切なのです。

コラム:親権と養育監護嫌悪分離(家制度から近代民法への過渡期)

ところで、現代の民法が施行された昭和23年から10年ほどの間、親権のうち、具体的に子供を養育監護する権利義務(養育監護権」と呼びます)だけを分離して考えた時代がありました。

法的な財産の管理権である親権から、これだけを取り出して親権者ではないほうが養育監護権のみを持つなど、考えればわかるとおり、子供の育成に不便なだけですから、とてもお勧めできるものではないのですが、戦後の一時期、裁判所も一緒になってこれが推奨された時代がありました。

新民法になり、家制度が崩壊した後、本来、離婚後の親権を誰が持つかは、平等である男女が話し合って決めるべきであるとなったわけですが、まあ、人の心はなかなそう簡単には切り替わりません。

離婚して家を出て行く母親に対して、子供は家のものだ、置いていけ、というような風潮は根強くありました。

その妥協策として、親権は父親が持てばいいでしょう。養育監護は母親にさせてあげなさい、というような方便がとられたわけです。

歴史の過渡期として仕方なかったとは言え、古い家制度の悪いところだけが残された結果招いたいびつな解決でした。

裁判所はこの実態への深い反省から、今ではよほどの事が無ければ、親権の中から、養育監護権だけを抜き出して分離するなどということはしません。

「育てている人が親権者である」これが大原則です。

2 親権者を決める要素は何か

では、どうやって親権者は決められるのか、判断基準は単純明快です。前項でいったとおり、

「誰が育てているのか」これだけです。

収入の多寡でもなければ、社会的地位でもありません。むろん、男女の性別でもありません。子供を育てているのは誰なのか、これに尽きるのです。

この点については、よくある勘違いを列挙しますので、これを反面教師に考えてくれた方がいいと思います。

  • NG1. 自分は忙しいが、自分の母親が田舎から、こちらに移り住んでくれると言っている。母親は、元保母さんもしていたし、子育てはプロである。何の心配もない。

    → 男性の側からよく出される主張ですが、これはNGです。いくらおばあさまがプロでも、当事者ではありません。親権者として見比べられるのは、父と母の子育てへの姿勢です。

  • NG2. 自分の方がお金がある。相手がパートで働くような年収で、とうてい子育てができるわけがない。

    → これも男性の側からよく出される主張です。なるほど、女性と男性で年収差は当然あるのでしょうが、これを調整するのが婚姻費用であり、養育費です。収入の多寡は関係ありません。

3 親権を取るにはどうしたらいいか

さて、以上を踏まえて、専業主婦でも親権を取りたければどうしたらいいかを考えましょう。

専業主婦の場合、収入がありません。日本の社会は、現在仕事を持っていない人がいきなり、保育園に子供を預けて働けるほど、社会保障は充実していません。となると、いろいろ手立てを考えなければなりません。

1. とにかく別居する

まず、子育てをしているのが、誰なのか、はっきりさせるためには別居が一番です。

同居していると、どちらが主に育てていたかについては、全日勤務の夫と、専業主婦である妻であれば明らかですが、それでも、夜は自分が見ていたとか、休日はもっぱら自分が見ていた、というような主張は必ず夫側から来ます。

無用な争いを防ぐにも、まずは別居が肝心です。子供を連れて、どうやって出たらいいかの策を練ってください。

時々、子供を連れて出て行くのは大変だし、夫の方が出て行ってくれれば一番いいのですが、というような事を言う人がいますが、人の心と体を動かすことは不可能です。自分が行動しない限り、事態は何も動きません。

また、子供を連れて一方的に出て行くと、あとで不利ではないでしょうか、というような質問を受けますが、関係ありません。

まれに、同居義務に反して夫を遺棄した、などというトンチンカンな主張をしてくる夫がいますが、寝たきりの夫を捨てて出たならともかく(それは保護責任者遺棄という立派な犯罪です)、夫婦だからと言って、不幸な結婚生活を無理矢理続けなければならない義務はありません。

もうこの人とは暮らせないという理由をきちんと述べて、堂々と出て行くことが必要です。

2. 生活の糧を稼ぐ

年収の多寡は特に親権者の選定において、問題にはならないとお話ししました。

しかし、今後ずっと、夫の年収に頼って、子供との生活設計をして行くのは余りにナンセンスです。夫も不老不死ではありません。明日ぽっくり死ぬかもしれません。

まずは子供と生き延びられる生活の土台作りは必要です。その心意気があるからこそ、母は強しという観点で味方もしてもらえます。

子供を預ける方法はこの膨大な待機児童数の現実の前にはかなり厳しいですが、それでも、待機児童の少ない地域を選んで移り住んだり、一時、ご実家にお世話になりながらでも職につく、など、何としても職を見つけるという信念で進みましょう。

3. 専門家に相談する

近年、親権を巡る争いは激化しています。相手方も必死です。子供を2つに割って、持ち合うということができない以上、オールオアナッシングの闘いになるからです。

そうなると、あの手この手で、相手も迫ってきます。土俵は「子の監護に関する審判」という、訴訟手続きになる事が多く、とても、素人では対処できません

また、監護状況を主張する資料の作成など、コツもありますので、できれば、こういった事件を多く手がけている弁護士に依頼することをお勧めします。

4. 養育監護ができるお墨付きをもらう

必ず、養育監護権者の指定を求める裁判をおこしてください。

もちろん、最終的に親権をこちらがとるという合意あるいは審判あるいは判決がもらえればそれが究極ですが、まず、それらについてはこれから審理が行われるという段階でも、今誰が育てていくのが妥当かという、指定をしてもらうことは可能です。

そして、多くの場合、養育監護権者として指定を受けた者がそのまま親権者に認定される可能性が高くなります。

5. 面会は許容する

面会については、多くの母親が、これを嫌います。しかし、ハーグ条約の調印後、日本の裁判の実態は必ず非監護親(今子供と離れている方の親)と子供は面会させる、と言う方向で動いています。

もちろん、せっかく子供を連れて別居したのに、子供を奪い返されるという心配があるかもしれません。そうであれば、最初の内は、親族や代理人などに立ち会ってもらうとか、暴力的に奪い去られないような人の目のある空間を利用するなどいくらでも工夫はできます。

我が国の現状では、一回目の子供の連れ去りは目をつむりますが、そこから無理矢理奪い返すと、誘拐罪の成立の余地がある、というような運用が行われています。いわば、言い方は悪いですが、最初に拉致した者が勝つ、という原則が続いているのです。

双方代理人が付いていれば、むりやり相手から奪い返せば不利だと言う事はわかりますから、させないように指導するはずです。

それに、大切なのは、非監護親と子供を面会させるというのも、親権者としての重要な度量であるとされています。子供と面会する権利は子供のためにあるという、近年の面会への裁判所の考え方の路線と相まって、この点は大きくポイントとなってきています。

安全を確保した上で、せっせと子供とは面会させるべきです。

4 まとめ

これまででわかるとおり、まず親権を取りたいのであれば、強い意志を持つことです。それから、今は専業主婦でもかまいませんが、かならず近い将来は子供達を支えていく収入を得ることです。専業主婦という不安定な状況は、夫婦の間に愛情に裏打ちされた役割分担が円滑にいっている、奇跡のようなバランスの上になりたっています。愛情が失せた以上、自分の足で立たなければ未来は無いと肝に銘じてください。行動あるのみです。がんばりましょう。

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