弁護士が教える、離婚後の養育費を最大限確保する7つのポイント

離婚はしたいが、子供の養育が心配、離婚して養育費ってどれくらいもらえるのかしら?高校大学とどんどんお金はかかるんだけど、どこまで相手は負担してくれるのだろう?現実問題として相手が払わなくなったら、どうやって回収するの?などなど、お子さんを連れて離婚するには、ここが見えてこないと、踏み切れないという方もたくさんいらっしゃいますよね。

確かに、養育費は、離婚する夫婦だけでなく、お子さんの生活や将来にも関わってくる大事なお金です。しかし、そもそもどういった仕組みで決められるのか、実際にはどこでどのように請求すればいいのか、意外に、詳しいことは知られていないというのが実情です。

しかし、食費、衣料費、学費、塾や習い事代、医療費等々、離婚した後も、子供のためにはたくさん費用がかかりますので、離婚して、子供を育てていく場合には、自分自身の収入だけではなく、離婚した相手からもらえる養育費も今後の生活設計には期待せざるを得ません。子供のためと思って、1円でも多く確保することは育てていく親として当然の責務です。

そこで、本記事では、離婚した後の養育費をできるだけ最大限に確保するために外せないポイントを解説していきたいと思っております。

ここで書かれていることを踏まえて、お子さんのために、適切な養育費の確保に向けてがんばりましょう。

ポイント1 まず「養育費」というものの仕組みを知っておこう!

養育費を獲得するためのテクニック的な事を早く教えてほしいという声が聞こえてきそうですが、あわててはいけません、まず、攻略するべき養育費という敵を知らないと戦えませんからね。この性質をきちんと押さえておくことは、次に続く、最大獲得のポイントに大いに影響します。

1-1 養育費って何?

養育費というのは、離婚により、子供を手放したほうの親が、子供を育ててくれているほうの親に対して、子供の扶養料として払う費用を言います。

そもそも、両親が仲良く暮らしていれば、子供は、その両親双方から、相応の扶養を受けることができます。しかし、両親の離婚という、子供に何の責任もない出来事で、扶養をしてくれる親が片方になり、別れた親からは全く見放されてしまい、結果、子供が突然、窮乏するというようなことはあってはなりません。

両親が離婚などせず仲良く暮らしていれば、当然受けられたであろう扶養をできるだけ保証していこうというのが養育費の考え方です。

1-2 養育費のもつ「仮決め」の宿命

上記のとおり、養育費というのは、夫婦が仲良く暮らしていたら、得られたはずの扶養をできるだけ子供に補償していこうという制度です。

そのため、もし仲良く暮らしていた場合にも、親に収入の増減があった場合や、家族構成に変化があった場合(扶養家族が増えたり)、あるいは、子供に病気や進学などの事情が生じた場合には変動します。要は、需要と供給側どちらに変化が発生しても、養育費は影響を受けて変わってくると言うことです。

その意味で、養育費は、現在の事情で決めるしかないが、固定的にその額で鋳られるわけはなく、永久に「仮決め」の状態を宿命として持っているのだということです。

1-3 養育費がになう理念

これは次章で述べる養育費の計算方法にも関係してくるのですが、もともと、法が養育費に込めていた理念は、「最低限度の生活を保障しよう」というものでした。

ですので、子育てをしている方の親の収入が高かったり、あるいは、子育てをしている方が裕福な実家のお世話になって、余り生活に困っていない場合などは、養育費の額はそれほど高くは成らないのが通常でした。

しかし、現在養育費が担う理念は「所得の分配」という理念です。子供を育てていくという局面において、元夫婦間の所得の分配が行われると思っていただくとわかりやすいかと思います。水が高いところから低いところに流れるように、所得が高い方から低い方に分配されるのが、現在の養育費の担っている理念なのです。

ですから、子育て世帯のほうの親にに十分な収入があっても、育てていない親の方の収入がさらに高ければ、養育費は発生します。また、どんなに実家で裕福に暮らしていようと、実家の事情は夫婦間の所得の分配には関係がないので、純粋に、実家に帰っている方の親の所得が低ければ、所得の高い方の親から、所得の低い親に養育費の支払い義務は発生していくのです。気をつけておかねばなりません。

1-4 基本の計算式

さて、養育費はどうやって計算されるのか。

おそらくここが最も気になるところだと思いますが、実は裁判所がおおよその相場を公開しています。以下のURLにアクセスして見てください。

婚姻費用算定表

最初に数ページの解説文が続いた後、突然、変な縞模様のような表が出てきたと思います。この表こそが、「算定表」と言われる表で、現在の離婚の裁判では、この算定表に従っておよその養育費を決められます。

表をご覧になればわかる通り、お子さんの年齢、人数によって、適用される表が異なります。この中からご自身の場合に合致する表を選び、権利者(払ってもらう方)の年収額と義務者(払う方)の年収額が交差するポイントがある領域がおよその養育費額です。

ご覧の通り、義務者の年収が多ければ多いほど、そして権利者の年収が少なければ少ないほど養育費の額は相対的に多くなり、逆に義務者の年収が少なくなれば少ないほど、権利者の年収が多ければ多いほど養育費の額は少なくなります。

表自体は見るとわかるとおり、2万円程度の幅があります。この幅の中で諸般の事情を勘案して、妥当なところを探るというのが基本的な考え方です。

実際に具体例で見ていきましょう。

  • 夫:会社勤めで年収800万円
  • 妻:会社勤めで年収300万円
  • 子:17歳の息子と13歳の娘の2人

この夫婦が離婚して、妻が子ども達の親権者となるとします。この場合、「表4 養育費・子2人表(第1子15~19歳、第2子0~14歳)」という表が適用されます。

夫の年収が800万円、妻が300万円ですので、それぞれが交差するポイントは、「10万円~12万円」の領域の下の方にあります。

したがって、この場合の養育費額は、(あくまで目安ですが)「月額約10万円」ということになります。

1-5 もっと詳しい計算式

実は、上記の算定表は以下のような計算式を元にして作られていると言われています。

義務者の基礎収入×子の生活指数の合計÷(子の生活指数合計+義務者の生活指数の総計)×義務者の基礎収入÷(義務者の基礎収入+権利者の基礎収入)÷12

かなりややこしい計算式で、聞きなれない言葉も出てきますが、まず用語の解説からしていきたいと思います。

・基礎収入:簡単に言えば、収入を得るために必要な経費(税や保険 の控除等)を引いた自由に使えるお金と思っていただければ結構です。

給与収入と事業所得では、必要経費の額が違ってきますので、おおむね、下の表を参照に基礎収入を割り出しています。

収入割合の表

事業所得者の方が基礎収入割合が多くなるのは、給与書と違って、キャッシュフローがあるということを考えてのことです。

・生活指数:生活にかかる費用を、大人を100とした場合の子どもの生活費の割合を表したもので、固定で数字が決まっています。

15~19歳の子の生活指数は90、14歳以下の子の生活指数は55です。

次に、具体的な計算方法ですが、まず義務者の基礎収入に、子どもの生活指数合計を分子、義務者と子どもの生活指数すべての合計を分母とした分数をかけます。上記のように、子の生活指数の合計÷(子の生活指数合計+義務者の生活指数の総合計)というような式になります。これが「子どもにかかる生活費の額」ということになります。

さらに、この値を、義務者の基礎収入を分子、義務者と権利者の基礎収入の合計を分母とした分数をかけるので、さらに上記のような式になります。つまり自分と相手の基礎収入の合計のうち自分の基礎収入が占める割合を、上記「子の生活に必要な生活費」にかけるのです。これで年額の養育費が出るので、後は月額に直すため÷12をするだけです。

実際に具体例で見てみましょう。

  • 夫:会社勤めで年収500万円
  • 妻:パート勤めで年収200万円
  • 子:16歳の息子

この具体例で実際に計算してみましょう。

まず、夫の基礎収入は500万円掛ける38%、妻の基礎収入は200万円×39%となりますから、夫の基礎収入は190万円、妻の基礎収入は78万円となります。
子供は16才ですから、生活指数は90となります。

以上を前提に計算式に当てはめてみます。

190万円×90÷(100+90)×190万円÷(190万円+78万円)÷12=190×0.47×0.71÷12=63403円(小数点四捨五入)

算定表上では、「表2 養育費・子一人表(子15歳~19歳)」の表となり、表上は4~6万円の領域の真ん中からやや上の方ですが、上記計算式により、より具体的な金額が明らかとなりました。

ポイント2 支払時期をできるだけ長くするには!

金額の次に気になるのが、「一体いつまでもらえるのか」つまり期間だと思います。

算定表をご覧の通り、養育費は未成年の子どもを想定した費用であり、子どもが20歳になるまでしかもらえないのが原則です。

とはいえ、20歳を過ぎても、大学に通っていたりして、親元で過ごしていたり、援助を受けたりして生活をしている方も珍しくありません。また、今は子どもが小さくても、将来大学に行かせたい、そのために大学を卒業する時まで養育費を支払ってもらいたい、と考えている親御さんも多いと思います。

但し、現時点での「仮決め」にすぎない以上、これから起こりうる事態を想定しても、その通りになるとは限らないことから、現時点である事実を元に決めるしかないという、神ならぬ身の限界からなかなか決めきれないのです。

もちろん、当事者双方が合意して、22才までと決めてしまえばそれはそれで、かまいませんが、通常は、このような事態に備えて、「養育費の支払期限は20才まで。但し、20才の時点で、学業に従事していた場合には、当事者の協議により、この終期を見直すことができる」とすることが多いようです。

ポイント3 学費や高額療養費などは特別出費として別枠で認められる可能性がある

日本は教育費用が高いので、学費の負担は離婚後の家計に重くのしかかってきます。また、お子さんが重病を患っていて、高額な医療費がかかる場合など、とても、決められた養育費だけではまかないきれないことも発生してきます。そんな時、こういった特別の出費を年収に応じて分担してもらおうという請求が、「特別出費部分の請求」です。

ただ、何でも認められるわけではありません。お子さんを育てていく際にどうしても必要な費用であるとともに、以下の条件を満たしていることが必要です。

  • 請求の時点で、費用が確定していること
  • その支出について合意があること

大学に合格して、学費が決まっていて、支払う方も大学に進学することは認めていて、「がんばれよ」と励ましていた、なんていう事案であれば、合意も認定しやすくなります。しかし、大学と言っても私立か国立か、あるいは、学部によっても学費はずいぶん開きがありますから、どこまで確定的な合意をしていたのかは、重大なポイントとなります。何年も音信不通だった子供から、突然、私立の医学部にいくので、3千万円だしてくれ、といわれても困りますから、当然のことです。

これに対して、重篤な疾病のような場合には、子供の健康を願うのは親として当然ですから、療養費については、合意するに決まっているということで、あまり合意の立証は必要なくなってきます。このあたりのバランス感覚は常識の問題だと思ってもらえれば良いと想います。

ポイント4 具体的にはどこにどうやって、養育費の支払いを求めるの?

4-1 養育費請求のパターン

養育費は、子どものいる夫婦が離婚する場合必ず問題になる事項ですので、その金額や期間、支払方法といった内容は基本的には、離婚の手続きに付随して定めていくことになります。

大きく分けて、以下のパターンに分けられます。

    1.合意で決めるパターン

  • (1)離婚協議で互いに合意
  • (2)離婚調停で互いに合意
  • (3)離婚訴訟の中で和解
    2.裁判で決めるパターン

  • (4)離婚訴訟の判決で決めてもらう
  • (5)審判決定で決めてもらう

4-2 合意して決めるパターン

まず、(1)(2)ですが、離婚協議や離婚調停の中で、離婚条件として話し合われ、互いに合意して協議離婚あるいは調停離婚の内容として決める方法があります。

また、調停が不成立となった場合は、離婚を望む方が離婚訴訟を提起することになりますが、その場合でも(3)和解で離婚する場合もあるので、その中で養育費の内容を合意することもあります。

4-3 裁判で決めるパターン

次に、訴訟でも和解できなければ、(4)裁判官が判決で養育費を決めます。

最後に(5)についてですが、これは離婚した後、養育費を後から請求する場合です。

養育費は必ずしも離婚と同時に決めなくて良いので、離婚が成立してから後で請求することもできるのです。

この場合、まず協議や調停で話合いが行われ、話合いが決裂して調停が不成立になれば、「審判」という訴訟と似たような裁判手続きに移行し、最終的には裁判官が「審判決定」という形で養育費の内容を決めることになります。

なお、判決や審判決定で裁判官が決める場合、当然、算定表を元に判断されることになります。

ポイント5 養育費は永遠ではない。事情が変われば変更できる

養育費の額は、基本的には算定表に従い、双方の年収額と子どもの年齢、人数を基準にして決められますが、子どもの年齢は当然変わりますし、年収も時と共に変化するものです。

例えば「1-2 具体例」で出てきた、年収800万円の夫が、勤めていた会社の業績悪化で年収が400万円になってしまった場合、夫は月額10万円の養育費をその後も払い続けなければならないのかというと、そうではありません。

養育費は、一定の長い期間ずっと続くものですので、事情が変化すれば額を見直すこともできるのです。しかし、離婚の際額を決めなければ成りませんから、離婚の際に存在した事実を元に暫定的に決めたにすぎないのです。養育費が永久に「仮決め」だと言ったのはその意味です。

具体的には、やはり当事者同士で話し合って合意し直すか、話合いがまとまらなければ、養育費の変更を求めて調停を申し立て、裁判所の関与の元で協議を進めていくことになります。

調停でもまとまらなければ、裁判所が「審判決定」という形で、その時の双方の年収額等の事情を踏まえて、新たな養育費額を決定していくことになります。

~ コラム サクセスストーリーと養育費 ~

養育費が年収に応じて、増減しますよと言う話をすると、「ええ…じゃあ、収入が上がったら、養育費は上げなければならないの?それじゃ、うかつに成功もできないな…。」などというぼやきを、よく聞きます。確かに、「稼いでも稼いでもその分持ってかれちゃうのか?」という気持ちになるのはよくわかります。しかし、稼いで年収が増加した分を全て持って行かれるわけではありません。もし一緒に暮らしていたら、相応に良い暮らしをさせてあげられた子供に、離れていても、そのサクセスを分かち合えるのは、幸せなことではないのでしょうか。それに、自分の成功をどこかで祈ってくれてている人がいるというのは幸せなことですよ。それが、お金の為であってもです。

ポイント6 再婚した場合の養育費で気をつけること

6-1 権利者が再婚した場合

権利者、つまり養育費をもらう親権者側が再婚した場合、もし再婚相手がお子さんと養子縁組をしていれば、やしない子(養子)とはよく言ったもので、扶養義務は第1次的には親権者と再婚相手ということになるので、非親権者である義務者の養育費の支払義務は免れることになります。養育費の免除です。

例外的に、再婚相手の収入や財産が著しく少なく、子どもに対して十分な扶養を行えないような特別な事情がある場合には、引き続き非親権者である義務者にも養育費の支払義務は発生しますが、減額はされることになります。

6-2 義務者が再婚した場合

義務者が再婚した場合も、再婚相手が低収入だったり、あるいは再婚相手に連れ子や、再婚相手との間に新しい子ができたような場合は、養うべき人数の分母が増えていくわけですから、当然養育費の額は減額されることになります。

その計算方法は、義務者の生活指数に、再婚相手の生活指数(※15歳未満と同じ55とすべきという説が有力です)及び連れ子や新しくできた子の生活指数を合計した上で、先説明した計算式で計算する方法がおおむね採用されています。

つまり、義務者に扶養家族が増えたことで、離婚した元配偶者との関係では、義務者自身の生活指数が増えたと評価する、という事です。

そうすれば、上記計算式上の分母が増えるので、養育費の額は減ることになります。

ポイント7 不払いが起きたらできるだけ早く対処しましょう

取り決めをしたはいいが、ちゃんと養育費を払ってくれるのだろうか。誰でもが不安に感じることです。子供の成長は待ったなしですから、養育費が滞るようなことがあれば、毎日の子供の生活に直に影響します。

しかし、一方で、長い期間にわたる支払いですから、支払う親の方にも収入の変化や家族構成の変化など、いろいろな事情が生じてきます。又、面会もとびとびになり、絆が薄れてくると、支払うこと自体が面倒くさくなってくるのも人の心として否定はできません。

そこで、できるだけ被害を少なくするには、まず、不払いが始まったら、すぐに対処することです。すぐに反応することで、払っている方も「ああ、自分の支払う養育費が本当に糧になっているんだな」とわかりますし、いろいろ事情があって、言い出せないまま支払いが滞っている場合にも、話し合いを設けて、調整する場が速やかに持てるメリットもあります。

夫婦の縁は切れたとは言え、子供を巡っては父(母)であるという立場は変わりません。話せば分かる場合もかなりあるのです。

しかし、どうしても理由もなく、不払いが解消されなかったら、これは仕方ありません。給与等を差し押さえて回収していくしかありません。これは強制執行手続きとい言います。働いている先さえ分かれば、給与の内生活に必要な一定限度(4分の3ほど)を残して、あとは勤務先から自動的に振り込んでもらえます。仕組みは簡単ですが、手続きが難しいので、弁護士に依頼されるのが良いと思います。

8 おわりに

いかがでしたでしょうか。

専門的で難しい話もありましたが、養育費とは、基本的には双方の年収額と子どもの年齢、人数を確認し、該当する算定表に従っていくだけの単純な話です。

また、金額については、「意外に少ない」と思われた方や、逆に「えっこんなにもらえるの?」と思われた方もいるかもしれません。

養育費は、冒頭に書いた通り、夫婦のためではなく、お子さんのために必要なお金です。

今一度そのことを念頭に置き、適切な養育費を決めてきちんと支払われるようにがんばりましょう。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

弁護士の無料相談実施中!

当サイトの記事をお読み頂いても問題が解決しない場合には弁護士にご相談頂いた方がよい可能性があります。

ご相談は無料ですのでお気軽に弁護士法人DREAMまでお問い合わせください。

03-5577-2844

メール問い合わせ