離婚したくない! そんなときに役立つ法的手段

離婚したくない! そんなときに役立つ法的手段

夫(妻)から離婚を請求された。将来を誓い合った相手から、突然こんなことをされたら、とてもショックですよね。

誰も離婚するために結婚したわけではありません。相手と何とかよりを戻し、何とか離婚を回避したい、と思うのは当然のことです。また、よりを戻したいとは思っていなくとも、様々な理由から離婚を回避したいと思われている方もいらっしゃると思います。

どちらにしても、離婚を求められて、「はい、そうですか」と簡単に応じられる話ではありません。

本稿では、「離婚したくない!」と思われている方へ、場面ごとに離婚を回避するための様々な法的手段について解説したいと思います。

本稿で書かれているポイントを押さえていけば、離婚を回避するための有益なヒントが得られると思います。

1 夫婦関係の修復を望んでいる方へ

1-1 離婚を請求されたら

(1)相手が離婚を望む理由の確認

相手がなぜ離婚を望んでいるのか、まずは話合いをして、理由を確認することから始めましょう。

離婚を望んでいるからには、当然相手には相手なりの理由があるはずです。まずはそれをきちんと確認しないことには、修復などできません。

その際注意すべきポイントは、決して相手を問い詰めたり反論したり、話をさえぎったりしない、ということです。また、興奮して一方的に自分の言いたいことを言ってしまうのもNGです。自分の意見を言うにしても、まずは我慢して相手の理由や意見を一通り確認することが大事です。

その理由を確認した後、もっともな理由であれば改善する旨伝える、あるいは何か誤解に基づいているのであれば、その誤解を解く等、どうすれば相手が関係を修復してくれるか、どうすれば離婚を思いとどまってくれるか、をよく考えましょう。

(2)夫婦円満調停の利用

次に、「夫婦円満調停」という、家庭裁判所の調停手続きを利用するのも一つの方法です。

相手が離婚を望む理由を確認しようにも、相手が一切話し合おうとしてくれないとか、あるいは別居してしまって、こちらからの連絡にも一切応じない、という場合も多いと思います。

そのようなとき、裁判所に仲介に入ってもらって話合いの機会を設けてくれるのが、この夫婦円満調停という手続です。

この夫婦円満調停は、離婚調停と同じように、家庭裁判所の調停委員(男女1名ずついます)が夫婦の仲裁役となって話合いの機会を設けてくれる手続きですが、離婚調停が申立人(調停を起こし人のこと)の離婚請求を前提にしているのに比べ、円満調停は申立人が夫婦関係の修復を求めているので、それを前提に円満修復のための話合いが行われるところに違いがあります。

詳しくはこちらのURLをご参照ください。詳しい手続きの方法が載っています。

この調停は、話合いの手続きなので、強制力はありませんが、調停委員という中立の第三者が仲介に入るので、相手も話し合いに応じてくれる可能性があります。

また、調停委員のアドバイスのもと、夫婦間でどのような問題が生じているのか、その問題を解決し、夫婦関係が修復するためにはどうすればいいのかを一緒に考え、相手をうまく説得してくれることも期待できます。

(3)友人や親族等の協力

また、ときには信頼できる友人や親族等に相談する、あるいはその方に仲介に入ってもらって話合いをするのも一つの方法です。特にその方が相手の信頼も得ている方であれば、話合いがスムーズに行われる可能性も高いと思います。

ただ、そういった方達も、いくら信頼できるとはいえ当事者ではありませんし、弁護士や裁判所のように責任の伴う仕事として行ってくれるわけではありません。

ですので、必要以上に頼り過ぎたり介入させたりせず、最後は自分自身の意思で考え、行動することも大事です。

1-2 離婚調停を起こされたら

離婚調停を提起されると、裁判所からの呼出状が届くので、かなり驚くと思います。

ですが、調停はあくまで話合いの手続きですから、まずは落ち着き、裁判所の場所と調停の日時を確認し、出席できるようであれば出席し、どうしても都合がつかなければ裁判所に連絡して日時を再調整してもらいましょう。

そして、離婚調停の期日にきちんと出席して自分の意見をしっかりと調停員に伝えてください。

離婚調停では、双方が合意して初めて「調停離婚」が成立するので、こちらが離婚に応じない限りは離婚は成立しませんので、極論を言えば、調停が提起されて裁判所から呼び出されても一切無視すれば、調停は不成立となって終了するだけですので、離婚を回避することができます。しかし、それでは何の解決にもなりません。

解決を求めるのであれば、調停の場で、離婚する意思が無いこと、夫婦関係の修復を望んでいることを切に訴えることです。

なお、調停は基本的に相手と同席することは無く、調停委員が交代交代で当事者の話を聞くので、相手の言い分は、調停委員を通じて聞かされることになりますが、そうした相手の言い分を踏まえて、どうしたら夫婦関係を修復できるか、調停委員のアドバイスも聞きながらじっくり検討していきましょう。

1-3 離婚の訴訟が提起されたら

(1)訴状の内容と期日の確認

相手から離婚訴訟が提起され、裁判所から訴状と呼出し状が届けられたら、訴状で書かれている内容をよく吟味し、できれば弁護士に相談するなどして今後の対応を検討することが必要です。

また、訴状とともに期日の呼び出し状が同封されているので、そこに書かれている日時や裁判所の場所を確認してください。

(2)答弁書の提出

次に「答弁書」という書面を、裁判所の定める期限(たいてい第1回目の期日の1週間前までと定められます)までに裁判所に提出します。答弁書とは、訴状に対する反論の書面の事です。

訴訟は、調停とは違い、当事者同士が合意しなくても最終的には裁判所が当事者の主張や証拠を基に判決を下しますが、当事者は基本的に書面で互いの意見を交わし、法律的な観点からどちらの意見が正しいか競い合います。

ですから、こちらも書面で相手の主張に対して反論をしていくわけです。

ただ、最初に出す答弁書は、「相手の離婚請求を争います」という趣旨のことが書かれていれば、詳しい主張や反論は次回までに間に合わせれば大丈夫ですし、しかも、答弁書を前もって提出していれば、第1回目期日だけは欠席しても大丈夫なのです。

2回目以降の期日は、当事者もしくは代理人弁護士の出席が必要ですが、2回目以降の期日は、裁判所は双方当事者と日程調整して決めるので、ご自身の都合を裁判所にきちんと伝えましょう。

(3)書面に何を書くか

最初に出す答弁書、あるいはその後に出す書面(準備書面といいます)で何を書くかについてですが、こちらは離婚をしたくないわけですから、相手が訴状で主張している内容に対して適切に反論、主張し、裁判官に「離婚を認めるのは妥当ではない」と心証を持ってもらうような内容を書くことが大事です。

法律的な観点でいうと、離婚が判決で認められるためには、「婚姻関係の破たん」という事情が必要です。例えば浮気や暴力、長期間の別居等の事実がそれにあたりますので、相手は、いかに夫婦関係が修復不可能で、いかに破たんしているか、いろいろな事実や証拠を挙げながら訴状で主張してくることでしょう。

したがって、それに対して離婚を否定するためには、まず相手の主張に嘘や誇張が無いか確かめ、そうした点があれば、冷静に否定し、反論していくことが必要です。

ただ、決して相手の意見や言い分に対して攻撃的に反論したり相手自身を非難したりしないようにすることが大事です。必要以上に攻撃的になったり相手を非難したりしていると、そうした状況自体が「婚姻関係の破たん」とみなされる恐れがあるからです。

また、嘘や誇張が無い場合でも、最終的に裁判官に「婚姻関係は破たんしていない」「夫婦間系は修復可能だ」と判断してもらえるように、そうした点を裏付けるような事実をこちらも主張、立証していくことが必要です。

2 夫婦関係修復は望んでいないが、離婚はしたくないという方へ

2-1 はじめに

夫婦関係を修復したいとは思わないが、離婚はしたくない、このように考えていらっしゃる方も多いと思います。

夫婦間の生活費(婚姻費用)をもらい続ける必要がある、離婚したら子どもの親権を失ってしまう等々、理由は人それぞれだと思いますが、共通しているのは「よりを戻したいとは思わないが、離婚自体は回避したい」ということです。

その場合、よりを戻して夫婦関係を修復したいと考えている場合とだいぶ方法が変わってきます。

2-2 離婚を請求されたとき、または調停を提起されたときの対応

このときは、相手の離婚請求に応じないだけでよく、特に対策らしい対策は必要ありません。

この段階は、離婚協議及び離婚調停の場面ということになりますが、どちらも、「双方が離婚に合意してはじめて」離婚が成立するので、相手の離婚請求に「NO」と言い続けるだけで良いからです。

相手と関係を修復しようとするわけでもないですから、やや乱暴な言い方ですが、話合いそのものを拒否したとしても、当面、離婚だけは回避できます。

2-3 離婚訴訟を提起されたときの対応

離婚訴訟を提起された場合、離婚協議や調停の段階とは違って、絶対に無視をしたり、杜撰な対応をしたりしてはいけません。

訴訟は最終的に判決が下されますので、こちらが何も反論や主張をしないと相手の言い分だけが認められて離婚が認められてしまう可能性があるからです。以下、どう対応すべきかポイントを記しましたので、しっかり押さえてください。

(1)期日日時と裁判所の確認、答弁書の提出

まず、期日の日時や裁判所の内容を確認し、裁判所の定める期限までに答弁書を提出しなければいけないことは上記1-3と共通します。

そして、訴訟は最終的には裁判官が判決で離婚を認めるかどうか判断するわけですから、裁判官が離婚判決を下さないよう訴訟活動していくことになりますので、できれば弁護士に相談してみた方が良いでしょう

(2)書面に書く内容

離婚は望まないが、こちらから見ても婚姻関係は破たんしている場合、また夫婦関係を修復を望んでいるわけではない場合は、「婚姻関係は破たんしていない」と争うのではなく、「相手方は有責配偶者だ」と主張立証していく方法があります。

基本的に「婚姻関係が破たんしている」と認定されると離婚判決が下さることになりますが、例外があり、「婚姻関係の破たんを招いた責任のある配偶者、つまり有責配偶者からの離婚請求は認めない」という法理論があるのです。

つまり、浮気や暴力を行って自ら婚姻関係を破たんさせた人は、いくら「婚姻関係が破たんしている」といっても、その張本人からの離婚請求はさすがに認めるわけにはいかない、ということです。

ですから、婚姻関係の破たんは認めつつも離婚自体を否定するためには、離婚を請求している相手を「有責配偶者だ」と主張立証していく必要があるわけです。

ただ、相手を「有責配偶者だ」と基礎づけるためには、それこそ浮気や暴力といったように、相当悪いことをしていないと認められることはなく、少々性格が意地悪だったり、別居した程度では認められることはありませんので、かなりハードルは高いですが、そうした手段があることは知っておいて損はないでしょう。

(3)判決後の対応

離婚訴訟で離婚判決が下されてしまった場合、つまりこちらの敗訴判決が下されてしまった場合は、判決が送達されてから2週間以内に高等裁判所に控訴することができます。

その高等裁判所の判決でも敗訴してしまった場合、さらに判決の送達日から2週間以内に上告することができます。

このようにさらに上級の裁判所に不服申し立ての手続きをとれば、判決はまだ確定したことにならないので、離婚を回避することはできます。

ただし、控訴で結果がひっくり返るのは、例えば新しい事実や証拠が出てきたとか、元の判決に重大な事実誤認があるとか、かなり限定的な場合に限られるので、かなりハードルは高いでしょう。

3 「いつかは離婚が認められる」という意識

以上、離婚したくない方へ向けた、離婚を回避するための法的手段について述べていきました。

ただ、最後に念頭に置かねばならないのは、「いつかは離婚が成立してしまう」ということです。

上で説明したように、「婚姻関係の破たん」が認められれば、離婚が認められますので、例え今は「破たんしていない」と認定されて離婚が否定されたとしても、将来、別居期間が長い間続く等の事情があれば、それでもって「破たんしている」と認定されることもあります。

また、「有責配偶者」の主張も、かなりハードルが高いですので、必ず成功するとは限りません。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

弁護士の無料相談実施中!

当サイトの記事をお読み頂いても問題が解決しない場合には弁護士にご相談頂いた方がよい可能性があります。

ご相談は無料ですのでお気軽に弁護士法人DREAMまでお問い合わせください。

03-5577-2844

メール問い合わせ