弁護士が教える、離婚後の戸籍の混乱を整理する方法

弁護士による説明

夫婦別姓が叫ばれてずいぶん長い年月が経ちますが、いっこうに実現する気配はなさそうですね。

そもそも、夫婦別姓が問題とされてきたのは、結婚と離婚によって、戸籍、姓の問題で翻弄されるのはいつも女性だからです。女性の社会進出が進んで、女性も仕事のキャリアを積んでくれば、当然自分を表す姓は自分のアイデンティティですから、結婚や離婚によってころころ変わったりしては、仕事上支障を来すことも出てくるでしょう。

また、離婚によって、子供を引き取って生活することになっても、子供と違う姓になったりしたら、これまた、暮らしにくい場面もたくさん出てきます。

場合によっては、離婚していったんは元の姓にもどったけれど、やはり、結婚していたときの姓を名乗らないと不便だということがわかったので元に戻したい、などという人も出てくるかもしれません。

こういった悩みは、結婚と離婚を巡ってつきませんが、実は、そもそも戸籍とはどういうものなのか、結婚によってどうなるのか、離婚によってどうなるのか、本当のところ、よくわかっていない、というのが実情です。

まず仕組みを理解した上で、自分にとって、一番いい方法は何なのか、そして、それはどうすれば実現できるのかをお教えしたいと思います。

1 結婚で戸籍はどうなるか

戸籍は、夫婦と未婚の子をセットとして登録されていく、国民の社会経済上の基本単位です。住民票のように住所を証明するものとは趣旨が大きく異なります。

戦前は「家」制度がありましたから、この「家」という固まりの中には多くの家族親族が記載されていましたが、今は、上記の通り、夫婦と未婚の子だけがセットにされます。

戸籍例

住民票とごっちゃにして誤解している人がいますが、住民票は住所を証明するためのものであり、戸籍は身分関係(婚姻とか、出生とか、死亡とか)を証明するための台帳だと思ってください。

ただ、戸籍には筆頭者があります。通常は結婚するときに筆頭者は夫になる場合が多いと思うので、言うなれば、夫という名を冠した箱のような物だと思ってください。

夫の名を冠している訳ですから、妻と子は、その入れ物の中に入っているだけの存在だと思えばいいと思います。

2 結婚で戸籍はどうなるか

未婚の子が、伴侶を得て、結婚すると、どちらかが筆頭者になって、新しい戸籍を作ることになります。通常は男性、夫の方が筆頭者になる事が圧倒的多数です。

法律は、どちらかの姓を名乗ると定めているだけなので(民法第750条)、理論的にはどちらの姓を名乗ってもいいことになっています。よく、夫婦別姓が叫ばれたときに、女性だけが名前を変わるのは差別だという意見に対し、どちらを名乗ってもいいとなっているのだから、差別していないという論拠に使われる条文ですので、聞いた事はおありなのではないでしょうか。

本題からはずれますが、これをもって、だから男女平等に反していないというのは実態を無視したナンセンスな議論です。

本題に戻りますが、多くは、夫が筆頭者になって、戸籍をつくり、そこに、「妻」と記載されて、女性の方は戸籍の構成員として記載されていくことになります。子供が生まれれば、長男とか、長女とか筆頭者との続柄によって、記載がなされていきます。

3 離婚で戸籍はどうなるか

さて、離婚によって、戸籍はどうなるのでしょうか。筆頭者ではない方(まあ通常は女性でしょうが)は、この戸籍の構成員では無くなりますので、出て行かなければなりません。

出て行く先は、自分で新しい戸籍を作るか、元いた戸籍(結婚する前に入っていた、通常はお父さんが筆頭者の戸籍)に戻るかのどちらかとなります。

ここで、気をつけなければならないのは、氏と姓(苗字)の問題です。山田さんというご夫婦が離婚して、奥さんが、結婚する前の苗字である鈴木に戻って、単独で戸籍を作ったとします。

この場合、夫の山田さんと妻の鈴木さんは「別戸籍、別氏となる」ということは分かると思います。

しかし、この場合に、奥さんが離婚しても、結婚していたときの苗字である鈴木を使い続ける事を希望し、婚姻時の氏を続称する届け出(離婚届けと一緒に出します)をして、山田という単独の戸籍を作ったとします。

こうなると、別戸籍でも氏は一緒なのかと、ややこしくなりますが、この場合も「別戸籍、別氏」であることに変わりはありません。氏というのは戸籍の単位とダブる概念ですので、単なる姓(苗字)とはことなるのです。

氏変更01

4 自分の戸籍、どうすべきか

さて、結婚と離婚における戸籍の仕組みは分かったとして、離婚において、自分はどうすべきなのか、迷われる方も多いと思います。

離婚によって、元の氏を名乗ることも、婚姻時に使っていた氏をそのまま使うことも可能だからです(但し、この場合は離婚の届け出の際に、婚姻時の氏を使用するという届け出をしないといけません)。

答えは簡単です。自分の今後の人生にどちらが都合がいいかによればいいのです。

昔は、新民法になっても、家制度の名残を男女ともに引きずっており、離婚するなら、旧姓に戻ることを強要されたりしていた事もありましたが、さすがに最近はそれはなくなりました。

結婚しても仕事を継続していた方は、その姓で、培ったアイデンティティーもあると思います。継続して使用した方が仕事がやりやすいなら遠慮せず堂々とそれを名乗ればいいのです。

逆に離婚することで1回人生をリセットしてすっきりしたいという希望がおありなら、遠慮せず、元の姓に戻ればいいのです。

5 子の氏の変更手続きはどうするか

(1) 離婚で子供の氏はどうなる

離婚して子供を引き取った女性がまず悩むのは子供の姓をどうするかという問題です。

先に挙げた事案で、山田さんご夫婦にご長男がいたとして、離婚した奥さんが、新しい戸籍を作った場合、それが、山田であろうと、旧姓の鈴木であろうと別氏、別戸籍になると説明しました。子供はどうなるのでしょうか。

子供は、離婚という夫婦の身分関係で、特に変動を来しませんので、筆頭者である夫山田さんの戸籍に入ったままです。

例え、お母さんが山田姓で一緒に暮らすことになったとしても、お母さんの山田さんとは別氏別戸籍です。

氏変更02

別氏別戸籍で親子が暮らすことは実生活上、様々な不便を招きますので、法はこのような場合に、息子さんの山田君が同居しているお母さんの山田戸籍の法に移る方法を「子の氏変更の申立」として、審判手続きを規定しています。

以下、裁判所のホームページに書式と記載例が載っていますので、ご参照ください。

(2) 子の氏の変更手続きの実際

具体的には子供が15才未満であれば、親権者である(この場合は)お母さんの山田さんが子を代理して申立をします。

子供が15才以上であれば、子供が自分自身で、氏の変更申立をできます。

審判決定は戸籍等の書面に不備が無ければ比較的早期に出ますので、この審判決定書を持って、お母様の山田戸籍に、お父さんの山田戸籍からの入籍手続きをもって、完成となります。

お母様が鈴木の旧姓に戻っていた際も手続きは全く同じです。ただ、いわゆる社会的な呼称である苗字も「山田」から「鈴木」に変わるわけですから、例えば、新年度の始まりの時から、新しい呼称を使用するとか(氏変更の時期と一致する必要はありません)、子供さんに大きな負担をかけないように配慮すればいいだけのことです。

最近は離婚が多いですから、学校の先生もこのような事は慣れっこになっています。ご相談して、時期を選ぶことは充分可能ですよ。

まとめ

結局、戸籍と言っても、それに何か力があるわけでも、価値があるわけでもありません。自分が生きていくために必要な道具でしかないことを間違えてはいけません。戸籍の為に人がいるのではなく、人のために戸籍はあるのです。結婚、離婚、いろいろな変化があっても、自分の人生のために、いい方法を見つけたら堂々とそれを主張して行けばいいのです。

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