遺留分を請求できる場合と遺留分減殺請求の方法

遺留分を請求できる場合と遺留分減殺請求の方法

相続が起こったとき、相続人であれば、当然相続財産の中から遺産を受け取れると期待しているものですが、遺言書がある場合などには相続人であっても遺産を受け取ることができないケースがあります。また、受け取れるとしても、本来の取り分より相当減ってしまうこともあります。

しかし、相続人には遺言などによっても奪うことのできない一定の権利があります。これを遺留分と言います。これにより、本来の相続人が遺産を受け取れない場合でも、最低限「遺留分」を請求することができる可能性が出てくるのです。

今回は、遺留分とは何か、とそれを請求できる場合、請求方法などについて解説していきます。

1 遺留分とは

遺留分とは、相続人に認められる最低限の遺産の取得分のことを言います。この権利は、民法上、一定の範囲の相続人に認められています。

遺産相続があったとき、原則的には法律で決められた相続人が相続分に従って遺産を相続することになりますが、遺言や贈与があると、相続人であっても予定されていた遺産を相続できないことがあります。

たとえば、父が亡くなって兄弟3人が相続人になっている場合、本来であれば兄弟3人が3分の1ずつの遺産を相続出来るはずです。しかし、父親が遺言をしており、遺言によって全部の遺産を長男に相続させることとされていたら、次男と三男は遺産を全く受け取れないことになってしまいます。

このような場合、次男と三男には最低限の遺産取得分としての遺留分が認められるので、遺留分の限度までは、長男に対して遺産の返還請求ができます。この請求を、遺留分の侵害を取り戻すと言う意味で「遺留分減殺請求」といいます。

2 遺留分減殺請求ができる場合

遺留分減殺請求ができる場合は、遺言による遺贈や相続分の指定だけではありません。

これ以外にも、被相続人が特定の相続人や第三者に対して死因贈与や生前贈与をしていたケースでも、遺留分の請求が可能です。

生前贈与の場合には、原則的に相続開始前1年間に行われたものが対象です(民法1030条前段)。ただし、贈与者と受贈者が、その贈与によって他の相続人に損害を与えることを認識していた場合には、1年以内のものでなくても遺留分請求の対象になります(民法1030条後段)。

3 遺留分減殺請求できる人

次に、遺留分減殺請求を出来る人は、兄弟姉妹以外の法定相続人です。たとえば、配偶者や子ども、親なども、遺留分が認められます。子どもが親より先に亡くなっている場合の孫などの代襲相続人にも遺留分が認められますし、親が先になくなっている場合に祖父母が相続する場合でも遺留分が認められます。

これに対し、兄弟姉妹には遺留分が認められないので、兄弟姉妹が被相続人より先に亡くなっている場合に代襲相続する甥や姪にも遺留分は認められません。

4 遺留分の割合

それぞれのケースにおいて、遺留分の割合がどのくらいになるのか、確認しましょう。

遺留分の割合は、直系尊属のみが相続人になるケースでは本来の相続分の3分の1、それ以外のケースでは本来の相続分の2分の1です。直系尊属というのは、親や祖父母など、本人から上にたどっていく直系の親族のことです。

たとえば、父が亡くなり、配偶者である母と子ども3人が相続人になっているケースでは、本来の相続分は母が2分の1、子どもたちがそれぞれ2分の1×3分の1=6分の1です。このような場合に、被相続人である父が、全ての財産を長男にあげると遺言していたような場合には、それぞれの遺留分は、本来の相続分の2分の1になるので、配偶者である母の遺留分は2分の1×2分の1=4分の1、長男以外の子どもたちの遺留分はそれぞれ、6分の1×2分の1=12分の1ずつとなります。

遺留分の割合

5 遺留分減殺請求の方法

相続人に遺留分が認められる場合であっても、何の手続きもしなければ遺留分の返還を受けることはできません。遺留分を請求したい場合には、遺留分減殺請求という手続きをとらなければならないのです。遺留分減殺請求とは、遺留分を請求するという意思を表示することです。

遺留分減殺請求を行う相手は、遺贈や贈与によって遺産を受け取り、遺留分を侵害している人です。

法律上、遺留分減殺請求の方法は定められていないので、理屈としては口頭などで請求することも可能です。ただ、遺留分減殺請求には期限もあり、本当に減殺請求が行われたかどうかが後に争われる可能性が高いです。

そこで、遺留分減殺請求をする場合には、確実に証拠を残すために「内容証明郵便」によって通知書をおくることが通常です。内容証明郵便を利用すると、自分の手元と郵便局に、相手に送った遺留分減殺通知書とまったく同じ内容の書類が残るので、確実に遺留分減殺請求をした証拠を残すことができます。また、内容証明郵便には確定日付も入りますし、配達証明をつけたら相手にいつ送達されたかも明らかになるので、期限内に確実に遺留分減殺請求をしたことが明らかになります。

6 減殺請求の期限

遺留分減殺請求には、期限があることに注意が必要です。具体的には、相続が開始したことと、遺留分を侵害する遺贈や贈与があったことを知ってから1年以内に請求手続きをとる必要があります。これは遺留分の時効です(民法1042条前段)。

また、これらの事実を知らなくても、相続開始から10年が経ったら、当然に遺留分減殺請求ができなくなってしまいます。これは遺留分の除斥期間です(民法1042条後段)。

遺留分が認められるケースであっても、期限を過ぎてしまったら遺留分の返還を受けることはできなくなってしまいます。そこで、遺留分減殺請求をしたい場合には、早めに内容証明郵便によって遺留分減殺請求通知を送る必要があります。

遺留分減殺請求をしたら、相手との間で話合いによって遺留分の返還方法を決めます。合意ができたらその内容にしたがって遺留分の返還を受けられますが、合意ができない場合には遺留分減殺調停によって、家庭裁判所の調停の場で相手と話し合うことになります。

それでも遺留分の返還方法について合意ができない場合には、遺留分減殺訴訟(裁判)を起こして、裁判官の判決により、遺留分の返還方法を決めてもらう必要があります。

訴訟までの流れ

7 遺留分減殺訴訟の問題点

遺留分減殺請求をしても相手が応じてくれなかったり遺留分の返還方法について合意ができなかったりした場合には、遺留分減殺調停や訴訟が必要になりますが、これらの場合、具体的にどのようにして遺留分の返還方法を決定するのかが問題です。

当事者同士で話合いをする段階や調停の段階の場合には、遺留分の返還方法については、金銭的な支払にすると便利なので、そうすることが多いです。

たとえば、遺言によって相手が高額な不動産を取得した場合、遺留分返還請求のもともとの内容としては不動産の一部の返還ですが、実際の解決方法としては、不動産そのものではなく代償金の支払いによって解決をするのです。

これに対し、訴訟によって遺留分の減殺請求をするときには、裁判所は代償金の支払いによる解決はしてくれません。相手が不動産などの物を取得したことによって遺留分侵害が起こっていたら、そのまま不動産(の一部)を返還する方法でしか遺留分返還が行われないのです。そうなると、遺留分侵害者と権利者が1つの不動産を共有する状態になってしまいますが、通常遺留分侵害者と権利者の関係は相当悪化していることが多いので、このようなことは双方が望まないことが普通です。

共有状態を解消するには、遺留分請求訴訟が終わった後に、あらためて共有物分割の手続きをとらないといけないのです。このように、遺留分減殺請求を訴訟によって行うと、2度手間になりますし、双方が望まない結果になってしまうおそれがあります。

二重訴訟

遺留分減殺請求が行われて返還方法について決めるなら、できるだけ調停までの段階で合意をすることをおすすめします。

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