弁護士が教える、離婚調停の進め方

離婚調停

ー離婚調停ー

言葉自体は知っている方も多いと思いますが、具体的に何をする手続きなのか、よくわからないことも多いと思います。

離婚が話合いで解決しない場合、次のステップとしてこの離婚調停を提起する(あるいは相手側に提起される)ことになります。離婚は、ただでさえ悩みが多い問題なのに、それを、見たことも聞いたこともない手続きで行うというのは、とても大きな不安や心配があることでしょう。

しかし、手続きをしっかり理解できれば何も恐れる必要はありません。むしろ、使い方さえ誤らなければ非常に便利な制度で、最大限有利な離婚条件を勝ち取ることも不可能でありません。

ここで書かれているポイントをしっかり押さえ、スムーズに調停を進めてより良い解決を目指しましょう。

1 離婚調停とは

離婚調停とは、一言でいえば、家庭裁判所で行われる、離婚の話合いです。
離婚は、当事者間で話し合いがまとまれば何の問題もないのですが、離婚するかどうか、するとしてどういう条件でするかということで揉め、互いに合意できない場合は、裁判所の力を借り、裁判所を仲介役として話合いを行うことになります。

この話合いは、調停委員という、裁判所の非常勤の職員(男女1名ずつ)が仲介に入ることになります。
調停委員とは、裁判官ではないですが、離婚に関する法律や手続きに詳しい者として、また中立な第三者として、夫婦間の離婚問題にうまくまとめてくれることが期待できます。

2 調停を起こすには

では、その調停を起こすにはどうしたら良いか、順を追って確認しましょう。

2−1 管轄裁判所の確認

調停は家庭裁判所に申立てることになりますが、どの家庭裁判所でも良いというわけではありません。
法律上、原則的には相手の住所を管轄する裁判所に申し立てる必要があります。自分の住所ではないので注意してください。
ちなみに、住所に対応する管轄の裁判所は、以下のサイトで検索するとわかります。
http://www.courts.go.jp/saiban/kankatu/

2−2 申立てに必要な物

(1) 必ず必要な物

  • 申立書(正本1通と副本1通)
  • 戸籍謄本
  • 収入印紙1200円
  • 予納郵券

以上の4点です。
調停の申立てに当たって絶対必要な物ですので、必ずそろえてください。入手方法や作成方法や以下の通りです。

①申立書
まずは申立書です。
本やインターネットでは様々な書式が出回っていますが、必要事項の記入と申立人の署名押印さえあれば、「こうしなければならない」という書式が決まっているわけではありませんので、どれでも構いません。

ただ、おすすめするは、東京家庭裁判所が以下のURLで公開している書式と記載例ですので、これに従って作成すればほぼ間違いはありません。
http://www.courts.go.jp/tokyo-f/saiban/tetuzuki/syosiki02/index.html

ここのページにある、「夫婦関係調整調停」(離婚)と書かれた項目の、「申立書」というワードのファイルと、「記載例」というPDFファイルがそれです。
なお、申立書は同じものを2通作成する必要があります。裁判所用(正本)と相手方用(副本)です。調停や訴訟といった裁判手続きでは、互いに書面で主張や意見を交わしていくので、相手方にも同じ書面を送る必要があるのです。

また、この申立書は、申立てに必要なものは、上記の通り正本1通副本1通の計2通ですが、ご自身の控えとして、正本をコピーしたものを1通手元においておくといいでしょう。

②戸籍謄本1通
次に戸籍謄本です。自分達夫婦の本籍地の役所か、住民票の住所の役所で入手できます。役所の窓口に行けばすぐ発行できますが、身分証明書や印鑑を忘れずに。また郵送でも請求できます。

これは、いわば裁判所に当事者の存在を証明するための書面ですので、1通で構いません。

③収入印紙1,200円分
裁判所に手数料がかかりますが、これは収入印紙で納めます。離婚調停の場合は法律で1200円と決まっています。これはどこの裁判所でも共通です。

④予納郵券
最後に予納郵券、つまり郵便切手もあらかじめ裁判所に納めるのです。これは裁判所ごとに必要な種類も枚数も違いますが、総計でだいたい1000円前後はかかります。必要な種類と枚数は、裁判所に電話し直接確認してみてください。

なお、東京家庭裁判所の以下のURLのように、裁判所によってはインターネットに公開しているところもあります。
http://www.courts.go.jp/tokyo-f/vcms_lf/M01-1-1.pdf

(2) 場合によっては必要な物

  • 証拠書類
  • 年金分割の情報通知書

①証拠書類
例えば浮気の証拠写真等、自分の意見や主張裏付ける証拠があるのであれば、申立書と一緒に提出する方が良いでしょう。そうすればより自分の主張が説得的になるからです。なお、証拠書類を提出する場合は、証拠ごとに「甲第1号証」「甲第2号証」という具合に、赤い文字で番号を書いて提出してください。

証拠の番号は、申立人が提出する証拠は「甲○号証」、相手方が提出する証拠は「乙○号証」という具合に番号を付けることになるのです。そして、証拠書類は、裁判所と相手方双方に提出するので、申立書と同様、同じものを2通用意する必要があります。

②年金分割の情報通知書
離婚に伴う年金分割を請求する場合は、社会保険事務所に行って「年金分割の情報通知書」という書類をもらってきてください。 離婚調停で年金分割を請求する場合はこれが必要です。

申立ての方法

管轄裁判所を確認し、申立に必要な物をそろえた後は、いよいよ申立てです。これは、①直接裁判所の受付に必要物を持って行って申し立てる方法と、②郵送で申し立てる方法の2つがありますが、どちらでも構いません。

ただ、平日の日中に時間が取れるようであれば、①直接申し立てる方法の方が便利です。裁判所の書記官がその場で書類に不備がないかチェックし、不備があれば是正方法をその場で教えてくれるからです。

申立ての後

申立てをした後は、裁判所と第1回目を期日を決め、相手方に呼び出し状を送り、第1回目期日を迎えることになりますが、申立て後は管轄裁判所の指揮のもと、調停が進むことになりますので、裁判所の指示に従って調停を進むて下さい。具体的な大まかなスケジュールは後記4の通りです。

調停を起こされたら

3−1 裁判所からの書類の確認

次に、逆に調停を起こされた、つまり相手方となってしまった場合の対応について述べていきます。
まず、調停を提起されると、裁判所から、申立人(調停を提起した人)の書いた「申立書」、期日の日時が書かれた「呼び出し状」、今後の手続きについて若干の解説が載った案内状が届きます。呼び出し状と申立書はだいたい以下のような形式となっています。まずは届いたこれらの書類をよく確認してください。

3−2 担当書記官に電話

期日の呼び出し状には、調停が提起された裁判所の担当部署と、担当する書記官の名前、そして電話番号とFAX番号が書いてあります。書記官とは、簡単に言うと調停の進行役みたいなもので、期日の日程調整や記録の管理等、手続面を司る人のことです。いわば裁判所の窓口になっている人です。その書記官に電話して、期日への出席できるかどうかを連絡し、出席できない場合は次回以降の期日の日程調整を行います。

3−3 答弁書の提出

申立書には、調停を提起した人の主張内容が書かれています。当然、起こされ方にとっては承服できかねる点があるでしょう。そのような場合は、その申立書に対して反論書を提出することもできます。この反論書を「答弁書」と言います。これも申立書と同様、決まった書式があるわけではありませんし、提出は義務ではありません。

しかし、申立人の主張だけで先入観を持たれないようにし、争点、つまり対立しているポイントは何かを明確にして調停期をスムーズに進めるためにはなるべく提出した方が良いでしょう。答弁書は、上記のように決められた書式はないですが、裁判所によっては、調停期日通知書と一緒に書式が同封されます。

ただし、同封がなくても答弁書を提出すること自体は何ら差し支えありません。また、その答弁書も、書き方に決まりがあるわけではありませんが、以下の2点を意識して書くようにしましょう。

①申立書に書かれている事実のうち、どれが正しくて、どれが間違っているか、あるいは(正しいも何も)こちらが知らない、判断できないものはどれか

②上記①を前提に、相手方側として付け加えたい反論や主張は何か

3−4 答弁書の提出後

その後は、申立人と同様、裁判所の指示に従って、調停を進めていくことになりますので、両者で大きな違いはありません。
調停に限らず、裁判では「先に申し立てたり訴えを起こしたりした方が有利なのでは」と考える人がいますが、裁判所にとっては申立人も相手方も平等な当事者ですから、申立人か相手方かといったことで有利不利を判断することはありません。あくまで「どちらの意見が説得的か「その意見に証拠の裏付けはあるか」といった観点から判断します。

4 調停のスケジュールと進め方

申立がされた後の調停は、大まかには以下のようなスケジュールで手続きが進みます。

4−1 スケジュール

    1. 申立人と裁判所とで、第1回目期日をいつにするか決める
    2. 相手方に対して、裁判所から期日への呼出状と申立書を送付(※上記3の通りです)
    3. 相手から答弁書提出
    4. 第1回目期日
    5. 第2回目期日

・・・

  1. 調停成立or不成立

だいたい以上のような流れで進みます。

4−2 進め方

期日では、申立人と相手方は別々の待合室で待たされ、交代交代で調停室に呼ばれます。ですから、基本的に相手と顔をあわせることはありません。そして、調停室には男女1名ずつの調停委員がおり、当事者の話を聞いて、双方の言い分を整理し、合意できそうかどうか話合いを調整します。

第1回目の期日は多くの場合、互いの意見を伝え合うだけで終わり、2回目、3回目と続きます。一回あたりの所要時間はまちまちですが、だいたい2時間程度はかかります。そして、期日の頻度は、およそ一か月または一か月半に一度のペースで開かれます。

調停でも、協議離婚と同様、離婚するかどうか、離婚するとしてどのような条件にするかが協議、交渉され、最終的に合意すれば調停成立で離婚となります。逆に話合いの結果、折り合いが付きそうもない場合は、裁判官の判断で調停は不整理となって終了します。その後は、離婚を望む方が本格的な裁判、つまり離婚訴訟を提起することになります。

5 調停を有利に進めるには

(1) 調停委員を納得させる

調停委員は、まさに調停そのものを主宰する人間であり、場合によっては相手方を説得してくれる場合がありますので、まずはこちらの意見を調停委員に納得させるようにしましょう。ただ、調停委員は立場としては公平な第三者ですから、無条件にこちらの意見に味方してくれるわけではありません。

調停に限った話ではないですが、協議や会議といったものは、論理的に筋が通った方の意見や主張が通りやすいので、きちんと自分の主張を論理的に筋道立てて話すことが必要です。そして、離婚調停では、当然ながら離婚に関する法律に合致するように主張内容を整理することも必要です。

例えば「離婚したい」ということであれば、法的に「いかなる原因によって婚姻関係は破たんしたか」といった点を主張する必要があります。もちろん、離婚にまつわる法律はこれだけではないので、こうした法律的に主張を整理することについては、きれば弁護士等の専門家の助力を仰いだ方が良いでしょう。

(2) 書面で意見を言う

重要な意見は書面で提出するようにしましょう。調停は、調停室で行われる協議なので基本的には口頭ベースで行われる手続きですが、複雑な内容の場合、口頭では上手く伝わらない可能性もあり、また相手方には調停委員を介して伝えられるので、その点でも正確に伝わらない可能性があります。

そのような場合は書面で主張内容をまとめて提出する方法が効果的です。書面であれば形として後々まで残りますし、こちらの主張や意見を余すところなく伝えることができるので、それだけこちらの主張が通りやすくなります。なお、その書面は、裁判所と相手方双方に提出することになりますが、方法としては郵送でも良いですし、FAXでも大丈夫です。

(3)書記官と相談する

書記官は、裁判所の窓口になる人です。裁判官や調停委員ではないので、内容に踏み込んだことは判断できませんが、例えば期日の調整や書面の提出方法等、手続きに関することであれば相談に乗ってくれますし、必要なことを教えてくれます。手続で何か分からないことがあれば遠慮なく書記官に電話して相談しましょう。

6 終わりに

以上が調停の進め方のポイントです。
離婚に直面している方にとって、調停は初めての裁判所に関わることですので、いろいろ不安な面もあるかと思います。ただ、基本的には話し合いの手続きですので、あまり緊張しすぎず、分からないことがあれば書記官に相談するなどして粛々と進めていけば何も怖いことはありません。

我々の税金で運用されている、せっかくの公的制度なのですから、ぜひ積極的に活用して、より良い解決を目指しましょう。

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