相続放棄 「相続しない」という選択!

相続放棄

相続が起きたが、借金がある!

相続が起こったとき、遺産の中に借金などの負債が残されていることがありますが、このような場合、借金も相続の対象になるので、そのまま相続をすると相続人が借金の支払をしなければなりません。借金を背負いたくない場合、相続人はどのような対処方法をとれば良いのかが問題です。

この場合、相続放棄によって借金を免れることができますが、その手続き方法を押さえておく必要がありますし、相続放棄には期限もあります。

そこで今回は、借金を相続したくない場合の相続放棄の手続きについて解説します。

1 借金も相続の対象になる

相続の図

相続は全部を引き継ぐもの

人が亡くなったとき、亡くなった人がプラスの資産のみを残しているとは限りません。サラ金などで借金をして、返済しないまま死亡してしまうケースもあります。

このような場合、相続人は借金も相続してしまいます。

遺産相続の対象には、プラスの資産だけではなくマイナスの負債や被相続人の契約上の地位なども含まれるので、被相続人が借金していた場合には、借金も相続の対象になるからです。

借金ってどんなもの?

被相続人がサラ金で借金していた場合だけではなく、銀行ローンを利用していた場合や事業のために融資を受けていた場合などにも、すべて借金が相続されます。

また、被相続人が家賃を支払っていなかった場合の未払家賃も相続の対象になりますし、交通事故を起こして死亡した場合には、損害賠償債務も相続されます。

このように、被相続人の債務は相続の対象になるので、相続人がそのまま単純承認によって相続してしまったら、相続人が多額の借金を返済しなければなりません。

他の遺産から支払いが出来ない場合、相続人自身の財産から支払をしなければなりませんし、支払いが出来ないなら相続人が自己破産などの債務整理をしなければならないこともあるので、大変な問題です。

2 相続放棄とは

通常、遺産相続があったときに借金を相続したいと思う人はいないでしょう。

借金を相続しないための方法はないのでしょうか?

この場合に利用できる方法が「相続放棄」です。相続放棄とは、プラスの資産もマイナスの負債も含めて、一切の遺産相続をしないことです。

相続放棄をすると、その人は初めから相続人ではなかったことになるので、借金やその他の未払い金などの債務を相続せずに済みます。

被相続人に負債がある場合には相続放棄をすると、相続人が代わりに借金返済をしなくてよくなり、被相続人の借金返済を免れることができます。

3 相続放棄する場合の注意点

資産のバランス

(1) 損か得か

相続放棄をする際には、注意しておかないといけない点があります。それは、相続放棄をすると、マイナスの負債だけではなくプラスの資産も受け取れなくなることです。

遺産の中に借金などの負債がある場合でも、同時にプラスの資産がある場合が多いですし、遺産の内容をプラスマイナスで差し引きしたら、全体としてプラスになることもあります。

差し引きしてプラスになるなら、自分でプラス分を現金化してそのお金で債権者に対する支払いをすれば良いのですから、基本的に相続放棄をする必要はありません。しかし、こうした場合に相続放棄をしてしまうと、そのプラス分の資産も受け取ることができなくなってしまいます。

(2) 犠牲を払っても守りたいもの

ただ、相続財産の中に守りたい大切な遺産があるケースも考えられます。

たとえば、遺産の中に先祖代々の土地がある場合、思い入れのある実家の土地建物がある場合などもありますが、こうしたときに借金を免れるために相続放棄をすると、それらの大切な財産も相続することができません。共同相続人がいて、誰かが相続をしてくれるなら財産が失われることはありませんが、他の誰も相続をしない場合には、遺産は売却されて債権者に配当されてしまいますし、残った部分は国のものになってしまうので、自分たちの手元からは失われてしまいます。

相続放棄をする場合には、

  • 遺産全体を差し引き計算した場合にプラスになるのかマイナスになるのか
  • 相続財産の中に守りたい財産は無いか

という2点についてしっかり検討することが必要です。

4 相続放棄の手続き方法

それでは、具体的に相続放棄をするための手続きについてご説明します。

相続放棄をする場合には、家庭裁判所で相続放棄の申述という手続きをする必要があります。相続放棄の申述は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所で行います。

具体的には相続放棄の申立書を作成して、被相続人の戸籍謄本や住民票除票、相続放棄する人の戸籍謄本などの必要書類を揃えて家庭裁判所へ提出します。このとき、手数料として800円の収入印紙が必要になり、予納郵便切手も必要です。

申立書のひな型はこちら

書類を提出したら、しばらくして家庭裁判所から照会書が送られてくるので、これに対して回答書を送り返すと家庭裁判所で審理が行われ、問題がなければ相続放棄の受理書が送られてきます。

これによって、無事に相続放棄の手続きができたことになります。

5 相続放棄の期限

相続放棄の申述をする場合には、期限があることに注意が必要です。具体的には、「自分のために相続があったときから3ヶ月以内」に手続きをしなければなりません(民法915条)。

自分のために相続があったことを知ったときというのは、「相続があったこと(被相続人の死亡の事実)と、被相続人に借金があったこと」を知ってから3ヶ月以内であると考えると良いです。

この3ヶ月の期間のことを熟慮期間と言いますが、熟慮期間の3ヶ月を超えると、たとえ家庭裁判所に相続放棄の申述をしても受理されなくなって、相続放棄ができなくなってしまうので注意が必要です。

6 相続放棄すべき場合

相続放棄をすべき場合は、どのような場合なのかをご紹介します。

(1) 遺産がマイナスばかり

まずは、遺産の中に借金などの負債が含まれていて、それがプラスの資産の額を超える場合です。この場合、相続放棄をしないと借金を相続してしまうので、放棄する必要性が高いです。

(2) 長男などに集中させたい

また、他の相続人に遺産を相続させたいので、自分は相続しなくて良いと考える場合があります。たとえば、家を継ぐ長男に相続分を集中させたいので自分は遺産が要らないというケースです。この場合にも、相続放棄することによって他の相続人に相続分を譲ることができます。

(3) 面倒はイヤ!

さらに、面倒な遺産分割協議に関わりたくないケースも考えられます。

たとえば、遺産の額が僅少で、遺産の受け取りに関心がないけれども相続人が何人もいて遺産分割協議が面倒だと感じる場合などには、相続放棄すると相続人でなくなるので、遺産分割協議に参加しなくて良くなります。

7 プラスマイナスがどっちに転ぶかわからない時

相続財産を調べてみたが、はたしてプラスで終わるのか、マイナスの方が多いのか、どうしても判断できないこともあります。そんな時利用される制度に、限定承認というものがあります。

これは、遺産の内容を差し引きして、残ったプラスの部分だけを相続できる制度です。しかし、便利と思われる反面、この制度の利用には

  • 相続人全員が限定承認で一致すること
  • 相続財産管理人が選任され、調査・換価・弁済などの複雑な手続が行われる

などのデメリットもあります。

3ヶ月の間に全てを判断するには、よくよく考えないといけません。早期に専門家である弁護士の判断を仰ぐことが必要です。

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